産み分けと不妊治療のことをたくさん調べていると、人工授精では女の子が生まれやすくなるという話をみました。
さて、これは本当なのか?
もう少し詳しく調べたのでまとめておきます。
人工授精で使われる「パーコール法」
この噂が出た背景には、人工授精にも女の子の産み分けにも「パーコール法」という精子処理プロセスが含まれるためだと思われる。
パーコール法とは、精液から良質な精子だけを集めるための方法。
精液を専用の培養液に入れ遠心分離(=ぐるぐる高速で回転させる)すると、重いものは下に、軽いものは上に行くという理屈に基づく方法。
人工授精の際には安全で元気な状態の精子を子宮内に入れるために、この処理が行われます。
運動率がよく良質な精子は、遠心分離後下の層に集まるという性質を持っているためだそうです。
なお、人工授精で必ずパーコール法が行われるわけではなく、SWIM-UP法など別の精子洗浄濃縮処理が行われることもあると聞きました。
どの方法が用いられるかは、病院や精子の状態によっても異なるらしいです。
産み分け目的のパーコール法では、女の子のもととなるX精子の方がY精子よりも重いと言われていることから、遠心分離後に下の層に溜まった精子にX精子が多いと考えられます。
ただ、X精子とY精子の重さの差はわずかであり、個体差もあるのでその選別には高い技術が必要そうです。
人工授精と産み分けのパーコール法はちがう
同じパーコール法という名前の方法を使っているが、人工授精で行われるパーコール法と産み分け目的のパーコール法は異なるものらしいということがわかりました。
産み分け目的のパーコール法は多層
産み分け目的のパーコール法はより詳細な精子の分類が求められるため、多層式が用いられる。
その層数は9層だったり、中には12層というものもあるらしい。
9層パーコール法では、精液を9層に分離し、所定の層にX精子が多いとされている。
12層の方がより詳細な分離になる。
一方の産み分け目的ではない人工授精のパーコール法の層数は2層〜と、産み分けの9層よりは少ない層数である可能性が高いです。
つまり、人工授精のパーコール法と、産み分け目的のパーコール法では、層数に明らかな差があり、全くちがう方法だと言えます。
パーコール法の人工授精でも女の子の確率は上がらない
人工授精用のパーコール法と産み分け目的のパーコール法は別物。
通常の人工授精用のパーコール法を行っても、女の子の確率が上がることはないのだそうです。
いろいろな文献をみても、どこも男女比は自然妊娠の場合と同じと結論づけていました。
参考:東京歯科大学 大野虎之進「人工授精、その他の不妊治療後の妊娠と出生児研究」
私も人工授精をしたとき、担当医に「人工授精で妊娠できた場合、男女比はどうなるか」尋ねたところ、
男の子、女の子のどちらが多いということはありません。
自然妊娠でもほぼ半々、人工授精でもほぼ半々。どんな治療をしてもほとんどが半々なので、どちらが多いということにはなりませんよ。
と説明を受けました。
一方の産み分け目的のパーコール法では、クリニックによっては70%や80%という女の子産み分け成功率と謳われています。
しかし、パーコール法によるX精子の分類は産婦人科学会は「根拠なし」としており、成功率は50%(=つまり、産み分け効果はない)と考える医師もいるようです。
まとめ
- 通常の人工授精と産み分け目的ではパーコール法のやり方が異なる。
- パーコール法を用いる通常の人工授精では、男女の確率は自然妊娠とほぼ同じ。
- 産み分け目的のパーコール法による産み分けには医師によっても賛否が分かれており、実際の成功率はわからない。
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